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地方の未利用資源が国土を守る盾に!ホタテ貝殻と拓くインフラ長寿命化とカーボンニュートラルの未来

目次
1.維持管理が追いつかない老朽化インフラの現実
私たちの暮らしを支える道路、橋、トンネル―高度経済成長期に整備されたこれらのコンクリートインフラは、今、一斉に老朽化の波に直面しています。
その維持管理には莫大なコストがかかり、既存の補修技術だけでは追いつかないのが現状です。
2.課題解決の鍵は「海の恵み」にあり
そんな中、老朽化対策と環境負荷低減を両立させる、ユニークな新技術の開発を進めています。
その鍵を握るのは、北海道オホーツク地方の主力産業から排出されるホタテ貝殻です。
ホタテ養殖が盛んなオホーツク地方では、毎年大量の貝殻が廃棄され、その利用率は約56%にとどまっています。残りの貝殻の処分や堆積は地域課題となっています。
本研究ではこのホタテ貝殻を有効活用し、老朽化したコンクリート構造物を補修・長寿命化する新技術の開発を目指しています。
3.ホタテ貝殻が持つ驚異のCO2固定能力
ホタテは海中の炭酸イオンを取り込んで貝殻を成長させるという、CO2を固定する特性を持っています。
試算では、仮に年間約25万トンのホタテ貝殻を資材として使用すると、そこには約11万トンの二酸化炭素が固定されていることになります。これは人工林約800万本分に相当する炭素固定量であり、非常に効率的でカーボンニュートラルの観点から社会的に注目を集めています。

4.貝殻粒子と炭酸ナノバブルでコンクリートを守る新工法
本研究で開発を目指す新しい補修工法は、このホタテ貝殻を利用します。
1.超微細化:ホタテ貝殻をジェットミルで粉砕し、コンクリートの細孔に充填できるサブミクロンサイズの微細な粒子(水酸化カルシウム粉末)に仕上げます。
2.塗布・噴霧:この微細な水酸化カルシウムと炭酸ナノバブルを、劣化部分や将来的に劣化が懸念されるコンクリートに塗布または噴霧します。炭酸ナノバブルの発生には同時に開発を進める『炭酸ナノバブル噴霧器NCガード』を用います。

3.シールド効果: 細孔に充填された貝殻由来の粒子が、コンクリートの経年劣化を防ぐシールド効果を発揮します。
従来の補修工法は、劣化が進行してから薬剤を塗布する対症療法が主でした。
この新技術はコンクリートの呼吸性を保ちつつ細孔を埋めるため、劣化を未然に防ぐ予防保全技術としての活用も可能です。
5.地域課題解決と国土強靭化への貢献
このホタテ貝殻活用技術は、複数の社会課題を同時に解決します。
地域資源の有効活用:残渣処理が問題となっていたホタテ貝殻の再資源化を実現します。
資源枯渇の軽減:石灰資源の代替として活用することで、少なくとも25万トンの資源負担軽減が期待されます。
国土強靭化:コンクリートの長寿命化により、インフラ維持管理コストの削減と国土強靭化に貢献します。
未利用資源を活用したインフラ長寿命化と低炭素社会の実現を目指す、未来志向型の新技術にぜひご期待ください。
6.開発体制について
本開発は国立大学法人 北海道国立大学機構 北見工業大学にて
共同研究講座「オプティマス・リソース共同研究講座」を設置し、
北見工業大学と共同で研究を進めています。
新工法における塗布・噴霧の様子をご覧いただけます
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

