CASE STUDYお客様事例

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年6回の草刈りから解放
農地畦畔の雑草管理省力化と景観性を実現

  • 業務用液体容器・
    物流資材・カバー
  • 農業資材
  • 土木資材

出雲市は島根県東部に位置し、海や山、宍道湖など自然豊かな街です。その中でも斐川ひかわ町は水田稲作をはじめ、農業が盛んなエリアで様々な農産物が作られており、美しくのどかな田園風景が広がっています。
2019年以降、地被植物活着シート「べた~とシート」を地域でご採用いただき、施工エリアも現在約2,700㎡(斐川町内)と拡大しています。
出雲市斐川町直江地区・佐藤様に当初の課題や施工時の様子、率直なご感想などお話を伺いました。

農地法面の雑草対策と課題

耕作地に必ず付いてくるのが畦畔けいはん農地法面のうちのりめん)で、その雑草管理には多大な労力がかかっています。
畦畔は急勾配であることも多く、草刈り機での除草作業はかなりの重労働で、足を滑らせて怪我をするなどの危険も伴います。
 
全国的に農業従事者の高齢化が進んでいて、畦畔管理の負担軽減は大きな課題の一つになっており、小泉製麻として何か貢献できないかと
商品化したのが 地被植物活着促進シートの「べた~とシート」です。
 
___以前はどの程度の頻度で草刈りをされていたんでしょう?
 
佐藤様:
草刈り作業は年に6回程度実施していました。
中山間地のため、法面は長く、傾斜も急です。背丈ほどの草も生えるため草刈り作業は非常に大変でした。
「べた~とシート」の先進的事例がほぼ無い中でしたので、採用には決断力が要りましたが、通常の防草シートよりも長い年月の
防草効果が見込まれると思い、やってみることにしました。
 
 
採用当時2019年はまだ実績は少なく、 斐川町での実証が拡販のきっかけのひとつとなりました。

従来の方法ではなかった
”いいとこどり”の商品

従来の対策方法としては、①防草シートの使用、②芝の種を捲き芝を定着させる方法、③一般的な防草シートに穴を開け、芝の苗を植える方法があります。
防草シート単体を使用する場合、土壌流出の懸念や景観が損なわれるというデメリットがあります。
また、除草後に芝の種を撒く方法は管理が難しく、芝の定着前に雑草が生えることも。
防草シート敷設後に穴を開けて芝を植える方法では、伸びたランナーが防草シートを貫通できずに枯れ、穴が開いたシートだけが残ってしまうケースもありました。
「べた~とシート」は従来方法の双方を”いいとこどり”した
「防草シート+地被植物定植」の方法です。

べた~とシート定着までの手順と経過

🚩YouTubeで施工ポイントをまとめた動画を公開中です。
 
  1. 施工前準備
    定植苗はセンチピードグラスのセル苗(200穴)を使用
  2. 除草作業
    施工前に除草剤散布等の処理を確実に行う
  3. 法面整形
    不陸をなくす→整地作業(石等の除去)→排水溝等の確認
  4. シート敷設
    一般的な防草シートと施工要領は同じ
    ※不陸対策のためにピン打設本数は多い(50㎝ピッチ)
    シートに目印が付いているのでその通りに打設するだけでOK(5.5本/㎡)
  5. シート穴あけ
    シートにカッター等で切れ込みを入れ、苗定植用の穴を開ける
    苗のサイズの穴を開けるのがコツ(大きいと雑草が出る原因に)
  6. シートの密着性
    穴あけ箇所周りのシートと地面が密着しているか確認
    不陸があれば周囲にピンを打設し、不陸調整
  7. 苗定植
    穴あけ箇所にセル苗を定植 ※苗がシートに深く沈まないように注意
  8. 水やり
    降雨がなければ定植後繰り返し潅水(水やり)を行なう
  9. 生育・根の活着
    ※施工後1か月間のお世話が重要です!現場条件や定植後の苗管理により、生育、活着速度は異なります。
  10. 経過(4か月後|夏)(6か月後|冬)
    センチピードグラスは冬期は茶色くなり、休眠状態に入ります。春に再び萌芽し緑色に戻ります。
 
📝施工のベストシーズンは?
推奨している施工シーズンは5月中旬~7月初旬です
(梅雨時期の雨で苗の成長を促進します)
 
*斐川町では6月に施工しています。

施工の作業自体は正直大変

___作業を実際にされてみていかがでしたか?
佐藤様:
長い法面で傾斜も地だったので、梯子を用いて足場にしながら施工しました。べた~とシートはピンの打設本数と苗の定植数が多いため、施工には沢山の人手が必要で地元のみんなで取り組みました。
 
芝を植え付けるための穴開けはちょっと大変でしたね。
穴が大きすぎると草が生えてしまうので、適度な大きさ・適度な深さの穴にするのもポイントとのことで丁寧に行う必要がありました。
 
一般的な防草シートと比較すると、施工には1.5倍くらいの時間と労働力が必要だと感じました。
さらに、施工後の芝への水やりなど一定期間は管理も要求されます。
 
  • 施工の様子 6月
  • 施工の様子 6月

被覆後は緑のじゅうたんが美しい自然の風景に

佐藤様:
施工と初期の管理は手がかかりますが、年6回おこなっていた除草作業から解放されました。芝が上手く定着し、1年、2年と経過すると畦畔全体が緑に覆われ、自然の風景に近い緑色のじゅうたんのようになりました。
 
周辺とのコントラストは素晴らしく、とても綺麗です。
住空間の色彩にもマッチしていて、生活環境の面でも施工して非常に良かったなと景色をみながら思いますね。

使用商品

べた~とシート

防草と地被植物活着効果を併せ持った、国内初の二刀流防草シートです。特殊織物により“センチピードグラス”を活着させ、更にシートと地面の一体化による土壌流出を防止します。
畦畔等における草刈り作業を減らせるので、維持管理コストの大幅削減が期待できます。センチピードグラスのアレロパシー効果により他の植物の生長促進を阻害することで、雑草抑制にも繋がり、綺麗に緑化することができます。
農地畦畔や法面の雑草対策及び緑化、工場緑地化、歩道脇の植栽帯、観光農園や公園など、色々なシーンでご使用頂いています。

詳細を見る

・ 農林水産省の官民連携新技術研究開発事業(H28年度~H30年度)
・「農地畦畔における草刈り“ゼロ化”管理の省力化技術の開発」成果品
・NETIS(国土交通省新技術情報提供システム) 登録番号:QS-230001-A
 
 

Comments

キレイな景観が、大変な施工とお世話の先に

[営業担当者のコメント] 小泉製麻・営業 

私も色んな現場の施工に立ち会ったので痛感していますが、べた~とシートは最初の施工と1か月くらいのお世話は正直大変です。ただ、それを乗り越えると綺麗な畦畔となり、草刈りに取られていた時間を本業の農作物のお世話にかけることが出来ます。
斐川町の現場は、地元の皆さんが一生懸命施工・お世話いただいたおかげで非常に綺麗なので、経過を見るたびに嬉しくなります。
当時、事例がまだ少ない中「やってみよう!」と採用してもらえたことには本当に感謝です。

農地法面への実績が大半のべた~とシートですが、最近国交省のNETISを取得しました。
土木分野でもPRしていけたらと思っています。