#03Kudo
育休を経て、会社初の
時短勤務の営業社員は、
苦手な人づきあいを
少しだけ克服して活躍。
「人よりも植物の方が話を聞いてくれる」と農学部に進学して研究に取り組んでいた工藤が、小泉製麻に入社して配属されたのは営業。現場では、理系出身者ならではのロジカルな思考と「正論だから正解とは限らないこともある」という営業の現実との狭間で人間的に成長していった。出産後は育児休業を取得して復帰し、小泉製麻初の時短の営業社員として新しい働き方を実践している。
工藤 Kudo
2012年入社
農学院環境資源学専攻 修了
BIB事業部 BIB営業部
「コミュニケーションに、難あり」。
しかし営業へ。
営業をされていますが、学生時代は理系だったそうですね。
農学部出身ですね。小泉製麻には総合職という形で入社しました。そして入社後配属されたのが営業で。理系の専門知識が生かせる商品開発部門に配属される可能性もある、と聞いていました。
学生時代の研究経験を小泉製麻で生かしたいという気持ちで入社されたんですか。
いや、そういうわけではなくて…というと学生時代の研究とズレてしまうんですが、別に学生時代の研究は研究、仕事は仕事っていう風に、就職活動する時点で割り切っていたんです。だから、営業に配属が決まっても「あ、営業か」という感じで(笑)
営業への配属に抵抗感はなかったですか。
配属が営業だったことに抵抗感はなかったんですが、営業がやりたいかどうかはまた別の話で、やはり営業という仕事内容に対しては「ノルマがあってキツい」とか「お客さまの言うことは絶対だ」みたいなイメージがあって抵抗感はありましたね。それに私自身、今でも営業には向いてないと思っていますから(笑)
どういったところが向いていないと。
営業って人と人との関わりがすべてだと思うんです。そこが私はあんまり得意じゃない、という意味では向いてないと思います。なぜなら農学部に進んだのも、人よりも植物の方が文句を言わないし、話を聞いてくれると思ったから(笑)。コミュニケーション能力が子どもの頃から特に低いという自覚があったんです、私。
でも、苦手だからって一生コミュニケーションを避け続けることはできないじゃないですか。だからちょっと頑張って、最近になってようやく最低限できるようになってきた気がしています。
入社直後を振り返って、当時はどんな営業担当者でしたか。
入社当初は自分本位の考え方しかできていませんでしたね。そこから少しずつですが、相手の立場や言葉の背景を一応考えられるようにはなってきたかな、と。それなりに経験を積んだ今もまだ、自分本位のわがままな気持ちは強くあるんですが、相手がなぜそう言っているのか、という背景は考えるようになりました。あとはそれを受け入れられるかどうか…そこはまた別の話で(笑)
生活を支援する制度
給与以外の部分でも金銭面のサポートをすることで、安心して暮らしながら仕事に注力できる環境を整えています。
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奨学金支援手当
学生時代に奨学金の貸与を受けていた社員がその返済を続けている場合、返済額の半額相当(支給額は最大1万円/月)の手当を支給します。支給期間は最長5年間で、20代の若手社員が対象です。
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借上社宅制度
入社前の住所が通勤圏外(公共交通機関での通勤所要時間が1時間30分以上)にある社員が、入社に際して勤務地の近くへ転居を希望する場合、少額の自己負担だけで借上社宅へ入居することができます。入居期間は最長で10年間です。
「仕事は仕事」という割り切りこそ、
仕事の原動力。
業界的に女性の営業が少ないと聞きました。
確かに少ないです。でも、だからどうってことはないですね。じゃあ自分が女性だから営業スタイルが男性と違うかというと、それは関係ないです。営業って、接待で食事に行ったりしてお酌して…といったイメージがあるかもしれませんが、小泉製麻ではほとんどありません。もちろん必要があれば、一緒に飲みに行ってコミュニケーションを取ることはありますが、別にそれをしないと営業としてやっていけない、ということは決してありませんから。 女性の営業だからって特に厳しくされることはありませんし、逆に女性だからやさしくされることもないです。これは私が感じていないだけかもしれませんが(笑)
トラブルを経験したことはありますか。
営業の仕事をしていると、トラブルは付きものです。本当にこちら側に非があるトラブルもあれば、そうじゃないケースもあります。でも、自分が正しいと主張するばかりでは解決しないのがトラブル。相手がなぜそう言っているかを、それこそ背景や立場を理解して対応を考えないと解決できません。ただ、言うべきことはきちんと言うようにしています。時にはそれでトラブルが大きくなることもありますけど(笑)
工藤さんが営業の仕事を続けられるのはなぜですか。
私自身、営業に配属されるまでは営業の仕事なんか絶対無理と思っていました。それでも続けられているのは『仕事は仕事』というある種の割り切りでしょうか。でも、営業の仕事をしているから営業の仕事ならではの苦労や大変さがあって、別に開発や人事の仕事でも、何か営業とは違う形の苦労や大変さがあると思っています。どんな仕事も相応の苦労や大変さがあるものだと、それはそれで割り切れているので続けられているのだと思っています。
工藤さんはBIB事業部ですが、新規とリピートのお客さまの割合はどんな感じですか。
リピートのお客さまの割合が圧倒的に多いです。私は関西圏の営業なので、小泉製麻の名前や商品について知らないお客さまはほぼいません。しかも競合他社と比べても、商品自体に機能的な差異がさほどありません。結果的に、価格と納品体制などのサポートや私たち営業担当者の的確なフォローが、選んでいただく決め手になりやすいです。
小泉製麻初の時短勤務での営業は、
不安しかなかった。
サポートやフォローが重要な営業で、育休を取得するというのは会社やお客さまの理解やサポートが必要だったと思います。
今のところ、社内も社外も「頑張ってね」と応援してくださる方ばかりなんです。実は小泉製麻にはさまざまな部署があって、異動が結構多いんですよ。私はBIB事業部で長く在籍している方だったんです。だから私が育休を取得して担当替えになっても、お客さまからするといつもの部署異動と同じような感じだったと思います。さらに今は育休が明けて時短勤務で戻っているのですが、以前から知っているお客さまを担当させてもらっているので、「私は時短勤務で戻っているので、サブとしてこの人にサポートしてもらいます」という話をきちんとして、お客さまにご理解いただいています。
復帰前はものすごく不安でしたね。なにせ時短勤務の営業担当者は前例がないので。でも、育休前に担当していたお客さまを担当させてもらえたのはラッキーでした。私が営業担当で初めての育休ということで、会社に私の希望をしっかり聞いてもらえる状況だったのもありますが、とても働きやすいです。今後はどうなるかわかりませんし、私の事情を汲んでもらったので、これが基準になってしまうとあとに続く人は大変かもしれませんが(笑)
育休明けの時短勤務の中で営業の仕事をしていくために、会社とどんなことを話しましたか。
まずは私の希望を聞いてもらって、対応を相談していきました。例えば、兵庫と大阪のお客さまだけを担当する、とか。以前は、愛知や岐阜、三重、和歌山なんかのお客さまも担当していました。
時短勤務を15時45分までとしたのも、保育園のお迎え時間から逆算する形で希望しました。また、それ以降の時間は、仕事用の携帯電話への着信には対応ができないことがありますよ、ということも伝えました。もちろんできる状態の時はしますが、私が対応できない時間帯はサブの担当者に対応してもらっています。電話で話すのは無理でもメッセンジャーアプリやメールなどのテキスト連絡は、時間ができたときに確認して、必要があれば返事をしたり対応をお願いすることもあります。
勤務時間内は、お客さまの会社を訪問して商談も行いますし、夕方の遅い時間しか商談が行えないお客さまは、あらかじめ担当から外してもらっています。
本当に会社の対応には感謝しています。ちゃんと要望を聞いてもらった上で、実現できるように最大限の努力をしていただきました。
お子さまの発熱などで保育園から迎えに来てほしいという連絡には、どう対応されているんですか。
おかげさまでそういった経験は少ないのですが、仕事をやりくりして迎えに行っています。でも、もし保育園の子どもが熱を出したりしてアポイントに行けない場合は、正直にお客さまに事情を説明します。これまでも、非常に緊急度が高いトラブルが発生した時は、後ろのアポイントを全部キャンセルしてトラブルが発生したお客さまのもとに向かうこともありましたから、それと同じだと思っています。
ライフスタイルに合わせた
働き方を推進
妊娠、育児、介護などに応じて、
いろいろな形で働いてもらえる環境を用意しています。
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妊娠中の通勤緩和
妊娠している社員は1日の就業時間の初めと終わりを30分間ずつ短縮することができます。また、出退勤時刻をスライドさせて、通勤ラッシュ回避等のための遅出勤務や早帰りといった働き方も選択できます。
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時短勤務/スライド勤務
育児をする社員が希望する場合、最長で子どもが小学校4年生に進級するまでの期間にわたって、1日の就業時間を6時間まで短縮することができます。さらに、個人の事情に合わせて出退勤の時刻を早めたり遅めたりすることもできます。同様の制度を、家族の介護をする社員にも適用しています。
二度目の育休明けは、
営業以外の仕事を経験してみたい。
育休から復帰する際、より負担が軽い営業以外の部署で働く選択肢もあったと思いますが、営業の仕事を選んだのはなぜでしょうか。
私も戻るギリギリまで悩みました。内勤の仕事もアリかな、と思ったんですが、復職直前に第二子の妊娠がわかったんです。すると、育休から復帰してまた半年ほどしたら産休に入ることになります。もし新しい仕事をやるにしても、半年ほどでまた休むことになるなら、たとえ制限があっても仕事内容を理解している営業の仕事に復帰する方が、個人的にも会社的にも良いと思ったんです。
では、二度目の育休から復帰する際は…。
営業じゃない、かもしれない(笑)。営業しかしたことがないので、別の仕事をしてみたい想いはあります。就活の面接で人事の方が「定期的に、営業、人事、開発といった感じでジョブローテーションさせていきたい」と話していたんです。当時は「それは面白そうだなぁ」と思ったので、私もそうした経験をするのが楽しみですね。
工藤さんにとってのOne Stepは「人付き合いが苦手な自分が、就職してずっと営業の仕事をしている」ということだと思うのですが、営業の仕事で得たものってなんでしょうか。
自分の意見が正しいか正しくないかではなく、相手の立場や背景や事情を考慮して行動しないと営業の仕事はうまく進みません。話す相手やタイミングを間違えると、たとえこちらが正しくても受け入れてもらえない、ということを営業の仕事で学びましたね。
経営理念の視点から
育休期間はもちろん、復帰後も多くの社員や取引先様が工藤をサポートしてくださるのは、コミュニケーションが苦手だと語る工藤自身が、実は謙虚で誠実な営業活動を行い、多くのお客さまから信頼を得ているからこそ。まさに「謙虚さを忘れず信頼される企業として社会に貢献します」という小泉製麻の経営理念を体現していると言えるかもしれません。会社も経営理念を大切にするべく、彼女の出産、育休、そして職場復帰をサポートしていきます。
社長からひとこと
彼女は入社当時から、コミュニケーションが苦手なのがひと目でわかりました。でも、言葉がストレートなだけなんです。「それは言いすぎ」と指摘することもあるんですが、不思議と『工藤ファン』が多い。それは彼女が素直だからなんですよ。素直に言ったら言いすぎになること、時々ありますよね(笑)。会社としては働きたいと言ってくれる社員には、いろいろな形で働いてもらえる環境を用意したいと考えています。