#02Go
「自分を試せ!」
父の言葉を胸に
社内公募に挑戦し、
最年少所長に。
「ゼロから関係を築く新規営業が自分に合っている」と語る呉は、九州転勤前に父と話した内容を思い出し、福岡事業所長の社内公募に応募。社内審査の末に実現した28歳での所長就任は、小泉製麻最年少となるものだった。何事にも臆することなく前向きにチャレンジや発言を続けるのは、彼自身が持つ人生のバックボーンが影響しているのかもしれない。
呉 Go
2011年入社
工芸科学部物質工学課程 卒業
福岡事業所長
営業の仕事か
技術系の仕事かよりも、
人に惹かれた。
入社時の志望は技術系の志望だったんですか。
もともと大学も理系でしたし、学生時代から人の話を聞くのは好きだったんですが、自分は人と話すのは苦手だと思っていました。ものを作ったり手を動かしたりするのは好きだったので、営業っていうよくわからない仕事より、工場で黙々と何か作る仕事の方が向いていると思っていました。ですから技術系志望とだけ決め、建築系や電機系、化学系の会社など業界は絞らずに就活しました。小泉製麻は、合同説明会で出合うまで知りませんでした(笑)
なぜ小泉製麻への入社を決めたのですか。
最終的に、小泉製麻が一番トントン拍子で進んで内定が出ちゃったので決めてしまったという(笑)。入社1年目は、私以外の新入社員は全員営業で、私だけ商品や原料の仕入れ交渉や手配を担当する調達の部署に配属されて。でも「いずれは営業に配属されそうだ」と予感していました。「今はまだ工場に行くことはないな」って。
工場などへの転属は難しいと感じた時点で、転職などは考えなかったんですか。
入社して調達先企業の皆さんと話をさせてもらう中で、結構良い評価をいただくことが多くて、「小泉製麻って規模はさほど大きくないけど、えぇ会社やな」と思ったんです。「もう工場の仕事じゃなくて、営業でもいいかなぁ」と思ってましたね。そう思えたのは、採用の最終面接で当時の社長と話をした時、何となく自分の父と話している感覚になって楽しかったのも大きいかも。
結局、2年目で営業に配属されました。同期は全員営業2年目で、自分だけ1年目。当たり前のことなんですが、実際に営業しはじめるまでは不安でしたね。でも実際にフタを開けてみると、案外できるもんやなぁ~って(笑)
大きな会社じゃないので先輩たちも手厚くフォローしてくれましたし、調達の部署にいたことで、小泉製麻が扱う全商品のことをひと通りわかっていた。だから同期の営業より売る商品のことを知っていたんです。ハンデと思っていた営業以外の部署での仕事が、営業で役立ったんです。
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小泉社長の目の前で、
営業先の社長に
「引き抜きたい」と言われた。
ずっと新規開拓を担当していますね。
先述した2年目で配属された営業部署も新規開拓がメイン。新規開拓は苦手意識のある人が多いですが、私は新規開拓の方が楽しい。もちろん電話で一方的に断られることもありますが、知らない人のところに行って話をするの、全然抵抗感ないんですよ(笑)。お互い情報ゼロの状態から、少しずつ関係を築いていく時間が楽しいんです。もちろん仕事の成果として形になるまでに時間が掛かりますし、会社間の関係を自分ひとりで築くのは大変ですが、自分の性格に合っているのか好きですね。
新規営業の中で一番印象的だったお客さまって、どんなお客さまですか。
実際に取引には至らなかったのですが、倉庫で使う新商品のパレットを扱っていた時期があって、たまたま電話でつながったのが、その会社の社長さんで。名刺交換した時に初めて社長ってわかったんですが。どうやら商品もさることながら、それ以上に「どんな営業マンが来るか一回見てやろう」と興味本位で呼んだらしくて。面白い商品を扱っているし、営業スタイルも珍しいね、って言われたんです。その話を小泉社長に伝えたら、同行訪問してくださることになって。フットワーク軽いですからね、うちの社長は(笑)。そしたら営業先の社長が小泉社長に向かって「彼を引き抜きたい」って言い出して…。これは今でも覚えていますね。こういう経験が、いろいろな人に出会う醍醐味だと思います。
父との話を思い出し、
福岡事業所長の
社内公募チャレンジを決断。
今、福岡事業所の所長ですが、この所長職は社内公募で選ばれたそうですね。
所長職を社内公募すると決まった時に、以前所属していた部署の上司から「公募らしいから、お前ちょっと挑戦してみろ……って言ったらどうする?」と、若干強制力があるようなないような、そんなそそのかされ方をして(笑)。でもその1年前となる入社6年目、東京から福岡へ所員として転勤が決まった時、父と話す機会があったんです。その時に父から「次の福岡では所長をめざすとか、自分を試す覚悟で行ったらどうや?」と言われたんです。その後本当に所長職の社内公募が行われることになり、「これは絶対チャレンジしないとアカン」と思いましたね。社内公募の応募書類には、東京から福岡に来てからの1年ちょっとで感じたことや想いを必死で全部入れ込みました。
お父さまとの話がきっかけになったんですね。
私は在日韓国人で韓国籍なんです。韓国籍であることはオープンにしていて、同僚やお客さまにも普通に話しています。そういう意味では、自分をオープンにすることが私の軸なのかもしれませんね。だから自分の考えを発言したり、チャレンジすることに抵抗がないのかも。パスポートも違うし、見る人が見れば私は『違う人間』なんですよね。それでも私の中には特別扱いしてほしくないという想いと、『違う』部分も含めて自分のすべてをフラットに見てほしいという想いがあります。逆に私自身も、常に何事もフラットに見ようと意識しています。
父の時代は、韓国籍であることを隠して生きている人が多かった。私は幼稚園の頃から「ゴ セキシュウ」の名前で生きてきました。だから自分を隠すものがないんですよね。それは親の育て方だったのですが、今では感謝しています。
社内公募にチャレンジして、見事に成功しました。
自分的には想定外だったんです。選ばれる気でやりましたけど、公募の応募文も無茶苦茶で面接もイマイチの手応えだったので、自分が選ばれるとは思っていませんでした。でも決まった瞬間から「応募文に書いたことをどう実行しようか」って、頭の中でイメージしてましたね。2年足らずの福岡での経験から導き出した改善アイディアや運営方針が本当に正しいのかどうか。所長就任までの約1カ月間は、新規営業にはないプレッシャーを結構感じてました。
福岡事業所長に就任してから、一番力を入れたことはなんですか。
福岡って、神戸本社や東京支店ほどお客さまが多くないにせよ、まだまだ活動量を増やせると感じていたので、まずこの部分の改善に取り組みました。とにかく訪問件数などの活動量を増やしてスケジュールの空きをなくすことをめざしました。注力すべきジャンルをいくつか決め、新規か既存顧客かは関係なく集中的に営業活動してスケジュールの空きを埋めていきました。ただ人事異動の兼ね合いで、もともとは3人体制だった営業担当者が2人になった時期があって。人数が減って全体の活動量が下がってしまったので、優先順位を相談しながら効率良く活動量を増やす方法を模索しました。それでもなかなか思い通りにいかず、フラストレーションが溜まっていましたね。その後3人体制に戻り、全体の活動量はもちろん一人ひとりの活動量もアップしました。
福岡事業所長として、目下のチャレンジはなんでしょうか。
福岡から活動量が多い『機動力を備えた営業担当者』を輩出することです。今は会社全体が結果よりもプロセスにフォーカスしています。それが結果的に大きな数字目標につながるからだと思うんですよね。
また、福岡のメンバーには結構耳が痛いことを言っているはずなんですが、それでも話をきちんと聞いてくれるんです。徐々に、就任前にイメージしていた形に近づいているという手応えを感じています。あとはメンバーそれぞれが、事業所の将来や自分がやりたいことなどに関してめざすところがあるはず。その想いを汲み取りつつ、メンバー全員で同じ方向を向いて、さらなるチャレンジをしていきたいですね。
キャリアアップ支援
年齢や社歴は関係なし。やる気と熱意とアイディアを積極的に発信する人を応援します。
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新規事業企画公募
新事業のアイディアを全社員から公募。年齢やキャリアに関係なく、良いアイディアは積極的に登用します。
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事業所長立候補
事業所長になりたい人を募って社内選考を実施。戦略プランを提出させて、新しいリーダーを選出しました。
自分をフラットに見てもらえるよう、
何ごともオープンに。
ご自身のキャリアイメージはありますか。
新卒入社してから8年で神戸本社、東京、そして福岡と3つの拠点を経験した社員は少ないですから、今は福岡事業所でできることをやり切って、将来は別の部署で再びチャレンジしてみたい。今は工場へのこだわりはなく、総務や経理、人事にも興味があります。好奇心は強い方だと思いますが、「これやりたい!」という絶対的な希望はないんですよ。就活も業界を絞らずにやったから、小泉製麻に出合えたわけですし(笑)
何かしら社内で声を上げれば、会社は汲み取ってくれると思っています。同期の中で所長の立場でやらせてもらっているのは自分だけですが、何が他の仲間と違うかというと「声の大きさ」だと思うんです。いつも何かしらを発信、発言させてもらえているし、会社はその声に耳を傾けてくれる。もちろん意見が合わないこともあるでしょうし、そもそも反応が少ないこともありますが、誰かが面白そうだと思ってくれたら、その声は活かされると信じています。
もちろん社長に直接聞いてもらう機会もあります。社員と同じ空間で仕事机を置き、そこで仕事しているんです。それに加えて、オフィスをウロウロしていますし、お願いすれば営業の同行もしてもらえますから、話をする機会は多いです。話をしていると、社長なのにすごく親近感があるんですよね。社長と社員の距離は近すぎるぐらい近いかな。
呉さんのOne Stepは『福岡事業所長の公募に立候補したこと』だと思いますが、そこから得たものはなんですか。
まだわからない、というか得られていないかも。会社にとっても自分にとっても、所長になったのが成功かどうかまだわかりませんしね。でも自分が手を挙げて選ばれたことが、他の人の自信や行動のきっかけになっていれば嬉しいですね。以前、インターンシップで私と営業同行した学生が、その後当社に入社してくれたんです。自分の行動が誰かに影響するのはやっぱり励みになるし嬉しいです。自分の成長にもつながりますし。
でも、所長になって得たものって確かにあるはずだけど何だろう?例えば、事業所全体を俯瞰する視点は、所長にならないと得られない視点ですよね。視野が広がった分仕事も増えました。給料は微増やったけど(笑)
経営理念の視点から
常にオープンかつフラットに情報発信や発言を続ける呉。福岡事業所長の公募の結果により所長の任に就いた後も、福岡事業所を盛り上げたり改善を重ねることで、より大きな目標に向かって取り組み続けています。その姿勢は、まさに経営理念のひとつ「高い志と技術で常にチャレンジします」を具現化していると言えます。
社長からひとこと
彼は本当に考え方がシンプルで、しかも勉強家なんです。これは私じゃなくて彼の父上の影響じゃないかな。技術系なのに「営業もいいなぁ」と飛び込める貪欲さとバイタリティは、私でも脱帽モノですね。彼を福岡事業所長にしたのは、福岡の空気を劇的に変えてほしかったから。加えて、私とよくコミュニケーションを取る機会が多いので、私の想いを浸透させてこれまで以上にポジティブに前進する事業所にしたいという想いを託しました。